身体が成長するにつれて、骨も形成されていくことは多くの方がご存知と思います。ですが、骨形成について特に注意が必要な時期がいつか、ご存知ですか?それは、女らしい身体つきになり身長が伸び始める小学校高学年頃の女の子なのです。この時期の女の子に特徴的に見られる骨形成の過程とその理由、実生活で行える対策について、子どもの心理・発達をご専門とされる綾部敦子先生にお話しを伺いました。
doctor
お話を伺った先生
綾部敦子先生
獨協医科大学越谷病院子どものこころ診療センター研究生
平成13年3月、岩手医科大学医学部卒業。医療法人渓仁会手稲渓仁会病院・小児科医員勤務を経て、現在に至る。 摂食障害小児を始めとする子どもの心と身体のケアを専門に、研究や診療、指導にあたっている。第6回ロート女性健康科学研究助成受賞(ベストプレゼンテーション賞受賞)。
女の子の骨形成と、女性ホルモン
始めに、骨形成とはどういうことか、教えて下さい。
女性ホルモンは骨形成と関わりが強いということでしょうか?
注意すべきは、生理を迎えた女の子
女の子にとって女性ホルモンの分泌が始まった時期は、骨の形成に重要な時期ということですね?
このような、骨形成に問題を抱える女の子は増えているのですか?
骨形成のポイントは、『まず食べる』こと
日頃からできる、食事で気を付けるポイントはありますか?
綾部敦子先生
まず、『食べること』です。
この時期の女の子には体型が気になって食事を控えるお子さんがいます。また、近年は孤食の時代と言われ、親は仕事で帰宅が遅く、子どもも夜遅くまでの習い事で親子一緒に食事をする機会が減っているといわれています。子どもが何を、どのくらい食べているのかが分からない、といった状況を招いてしまっていないでしょうか。 子どもと一緒に食事をする時は、『いつもより食べる量が減ってきていないか』、『食べ物の好みが偏ってきていないか』など、ぜひ注意して様子をみてください。変化が感じられる場合には、足りない物を付け足してあげると良いと思います。おいしく感じながら、楽しい食事の時間を積み上げていくことが大切でしょう。
具体的に取り入れた方が良い食べ物はありますか?
最後にメッセージをお願いします。
綾部敦子先生
まずはお子さんをよく見つめて、日頃のちょっとした変化に気付いてあげることが大切だと思います。お子さんとの接点を増やすことで、『好きだった肉を残すようになったな』『前よりも食事に興味がうすいな』といった心の変化や、『元気はあるけれど少し痩せてきた』『身長が伸びなくなってきた』などの体の変化に気付きやすくなると思います。思春期のお子さんの変化に不安を感じられる方も多くいらっしゃると思いますが、みんなが通る道です。親御さんはへんに気負わずに、一緒に話をする時間や食事をする時間を大切に、楽しく過ごしてみることから始めてみて下さい。
成長期の骨形成においても女性ホルモンが重要な役割を果たしていることを知り、女性ホルモンの大切さを改めて感じました。またホルモンの分泌には食事が不可欠だということも驚きでした。女の子にとって自分の身体が変わってくる頃は心身ともにデリケートな時ですが、そのような時こそ家族や周囲が支えていける環境が大切ですね。綾部先生、ありがとうございました。
Summary
この記事のまとめ
- 女性の骨の形成には体重が年齢相応に増えていくことが重要
- 女性ホルモンは、骨の成長に不可欠
- 楽しく食べて、骨を作ろう!
この研究は、第6回ロート女性健康科学研究助成を受賞しました。より詳しい内容はこちらへ
綾部敦子先生 まず骨の形成とは、『骨が伸びること』と『骨の密度が増すこと』を指します。
骨の形成というと、身長が伸びることをイメージすると思いますが、骨の密度も増加することで、しっかりとした強い骨が形成されていきます。骨は幼少期から形成され始め、男性は高校入学頃、女性は小学校高学年から中学入学頃までに一気に身長が伸び(図1参照)、男女共に20歳前後に完成します。女の子の身長が一気に伸びる10代前半は初経を迎える時期でもあり、骨の形成は成長ホルモンとともに女性ホルモンの影響を受けています。