「冷えは万病のもと」と言われるように、身体にさまざまな不調を引き起こすことが知られています。衣服や暖房などで身体が冷えないように気をつけていても、年々、冷えを感じるようになっている人は特に注意!
「冷え」の原因と、その改善法、また、ふだんの生活でできる対策法をおふたりの先生方にお尋ねしました。(出典:太陽笑顔 fufufu)
doctor
お話を伺った先生
赤澤純代先生
金沢医科大学
総合内科学
准教授
医学博士。1992年、金沢医科大学卒業後、東京大学第三内科、東京大学先端技術研究所ゲノムサイエンス、金沢医科大学循環器内科助手を経て、現職。専門は女性疾患、漢方、高血圧、糖尿病、脂質異常症など。著書に「血管の強化書 破れない! 詰まらない! 澄み切った血液は万病を治す」(ワニブックス)などがある
「冷え」になる意外な理由
女性は「冷え」で悩む人が多いのですが、その理由を教えてください。
赤澤純代先生
“女性に冷えが多いのは、熱を生み出す筋肉の量が少ないことが原因のひとつ。特に手足が冷えるのは、血液を送り出す心臓から最も遠い場所であることが理由として挙げられます。冷えの原因はさまざま。血管が衰えていく、あるいはゴースト化によって、温かい血液が届かなくなることも冷えの大きな原因です。血管の衰えは、加齢に関係。年々冷えがツラくなるのは、そのせいなのです。”
血管が衰えると、なぜ「冷え」が起きるのでしょうか。
では、若い女性の「冷え」は、血管の衰えとは関係がないということでしょうか。
毛細血管を元気にして、「冷え」を解消!
手足が冷たいとき、手でさすったりしますが、それで「冷え」は解消するのでしょうか。
赤澤純代先生
“さする、マッサージをするのは手っ取り早い毛細血管ケアです。サロンなどで受けるのもいいですが、自分で行うことでも効果が期待できます。1回ごとに長時間、しっかりやる必要はありません。お風呂上がりに5分だけ、でもOK。毎日続けることが大事です。私は、アロマセラピーを兼ねて、精油(エッセンシャルオイル)を使ったマッサージをしています。血行促進に役立つのはレモンや柚子。ホホバオイルやアーモンドオイルなどのキャリアオイルに、精油を数滴たらして使います。マッサージによって毛細血管が若返れば、すべての細胞を作る幹細胞の働きがよくなります。仕事の合間に爪を揉むなど、短時間でも毎日続けましょう。”
血管を元気にする食品素材を教えてください。
赤澤純代先生
“特におすすめなのが、「ヒハツ」。インドや中国の伝統療法で冷えの改善薬として使われてきた香辛料です。胡椒に似た風味がある香辛料なので、使いやすいと思います。ほかに、「シナモン」、「ルイボス」、「かりん」なども週に2~3回を目安に摂りいれて、健康な血管作りに役立てましょう。”
最後にメッセージをお願いします。
赤澤純代先生
“冷えが年々増していく、何をやっても改善しない。それは今までの対策に見落としがあるのかもしれません。ただ寒さを乗り切るのではなく、根本にある原因を見つめて、改善していくこと。それが悩ましい冷えの改善にもなり、真の美と健康を目指すことにもなります。”
寒い季節には暖房や防寒具に頼れるので意外と気にならないのですが、夏の冷房ではどうしようもなく冷えてしまい、対策に困っていました。加齢による血管のゴースト化が「冷え」の原因の一つであると知ることができて、これからは自分の身体をしっかり見つめてみようと思いました。先生、ありがとうございました。
Summary
この記事のまとめ
- 血管の衰えも「冷え」の原因の一つ
- マッサージで血管のケアを
- 週に2~3回でOK!血管を元気にする素材を
赤澤純代先生 “血管というと太い血管を想像されるかもしれませんが、重要なのは、毛細血管。血管の90%を占め、ゴースト化するのも毛細血管を指しています。皮膚を通して見えるのはかなり太い血管。ここから枝分かれして、身体中のあらゆる臓器・器官にびっしりと毛細血管が張り巡らされているのです。血管が衰えた場所は、血流が滞って老廃物が溜まり、細胞が正常に働いてくれません。その結果として冷えが起きるのです。冷えは血管が衰えているサインだと言えます。私が勤務している女性総合外来は、20代から中高年まで幅広い年齢の女性が受診されます。ひどい生理痛や片頭痛、肩こり、更年期障害など不調はさまざまですが、ほとんどの方に共通しているのは、手がひんやりしていること。氷のように冷たくなっているんです。それは血管の質が悪くなっている証拠。適度な太さと長さがある健康な血管に対して、ねじれていたり、短かったりと、血管が不健康な状態になっているのです。”