なかなか寝付けない…。
解決法は、『疲れ』をとる
食事にあった!
『睡眠』は、からだの回復にとても大切なことですが、実はいま、不眠に悩んでいる女性が増えていると言われています。なぜ睡眠に問題を抱える女性が多いのか?日々の生活の中に取り入れられる解決方法とは?疲れと睡眠との関係を専門にご研究されている、福田早苗先生にお話しを伺いました。
doctor
お話を伺った先生
福田早苗先生
関西福祉科学大学健康福祉学部
健康科学科 教授
大阪大学人間科学部卒業後、大阪大学大学院医学研究科に進学し修士(医科学)・博士(医学)を取得。その後、ドイツ連邦共和国ドレスデン工科大学客員研究員、科学技術振興機構(JST)研究員、大阪市立大学大学院医学研究科特任講師、理化学研究所上級研究員を経て現職。専門は予防医学、健康科学で、疲労・ストレスに関する様々な研究に従事。
現代女性に増えている「睡眠トラブル」
女性に増えている睡眠の問題について、その特徴を教えて下さい。
なぜ、女性に睡眠トラブルが多いのでしょうか?
福田早苗先生
これには女性ならではのワークライフバランスが関係していると考えています。深夜も気を遣う「介護」や「育児」の主な担い手であること、日中に身体を休められない「ワーキングマザー」が増加していることなどの社会背景が、女性のメンタルヘルスに大きな影響を与えています。
「睡眠トラブル」には、どのような対処方法が効果的でしょうか?
福田早苗先生
一般的に睡眠問題の原因となる習慣として、「運動不足」と「ストレス」が考えられており、これらを解消することが大切と考えられています。さらに、私たちの研究で、睡眠状態の悪い人は「疲労」を感じていること、さらに疲労を感じやすい人は「食生活に問題が多い」ことが分かりました。つまり、「疲れをとる食生活」が大切なんです。
睡眠トラブルには
「疲れ」と「食生活の乱れ」が関係している!
睡眠トラブルには、「食生活」を見直すことが大切なのですね。
では、「疲れをとる食べ物」をどのように取り入れるのが良いのでしょうか?
全てをすぐに取り入れることは難しそうです…。何から始めると良いでしょうか?
食事を楽しむ、今日からでも実践できそうです!
最後にメッセージをお願いします。
福田早苗先生
食生活を変えることは、分かっていながらもなかなか始められないと思っている方が多いのではないでしょうか。変えないといけないと思うのではなく、まずは家族や友人と食事を楽しむこと、お子さんと一緒に食事を作ってみること、たまにパートナーと外食をしてみるなど、出来ることから変えていこう!くらいの気持ちで、楽しくスタートしてみてくださいね。
楽しい食事が、睡眠トラブルを解決できるというアプローチは、とても驚きでした。悩みを放置したり、一生懸命寝ようと考えるだけではなく、日頃の食生活に目を向けることから始めてみたいと思います。人との繋がりなど他の面でも様々な変化があるかもしれませんね。福田先生、ありがとうございました。
Summary
この記事のまとめ
- ・現代女性が抱える睡眠問題、解決のカギは食生活
- ・食生活の改善は、まずは誰かと食べることを楽しむことから
- ・これだけを食べる!のではなく、組合せや食べる時間も意識して
この研究は、第3回ロート女性健康科学研究助成を受賞しました。より詳しい内容はこちらへ
福田早苗先生 まず、日本人全体の約2割、実に5人に1人が睡眠にトラブルを感じていることが分かっています。男女比をみると男性よりも女性が多く、(図1グラフ参照)平成19年に行われた厚生労働省の国民健康・栄養調査でも、女性の方が男性に比べると睡眠トラブルを感じている割合が高いことが明らかになりました。 症状としては、寝付くまでに時間がかかる「入眠困難」、睡眠途中に起きてしまう「中途覚醒」、睡眠の質低下などが多くみられます(図2グラフ参照)。